幼児の成長過程で、遊び食べはよく見られる行動です。
食事時間が楽しくなり、子どもたちは食べ物を探索し、触れてみたくなるものです。
しかし、保護者にとってはこの行動が悩みの種となることもあります。
本記事では、幼児の遊び食べについての理解を深め、効果的な対策を提案します。
【遊び食べはなぜ起こるのか】
幼児期における遊び食べとは、食事の一環として食べ物を触ったり、遊んだりする行動のことを指します。
通常、この行動は2歳ごろから見られることが多いです。
幼児は食べ物に対する好奇心や探求心から、食事時間を楽しみながら成長していくのです。
遊び食べの原因と影響
幼児の遊び食べは、彼らの成長段階における自然な振る舞いの一部です。以下に、遊び食べの主な原因とその影響を挙げます。
原因
- 興味・好奇心:子どもは新しいものに対する興味や好奇心が強く、食べ物の感触や色、形などに対して興味を示します。これにより、食べ物を触ったり遊んだりすることが楽しみになります。
- 注意力の散漫:食事中に周囲の環境に気を取られることが多い子どもは、食べ物に集中できず、結果として遊びながら食べることが増えます。特にテレビやおもちゃなどが近くにあると、注意がそれてしまいます。
- 自己表現の手段:子どもは言葉で自分の気持ちや要求を表現するのが難しい場合があります。そのため、食べ物を使って感情や要求を表現することがあります。
- 空腹感の不足:食事の時間にあまりお腹が空いていない場合、食べ物に対する興味が低下し、遊び食べが増えることがあります。食事と食事の間隔が短いとこの現象が起こりやすいです。
- 学習と模倣:周囲の大人や他の子どもたちの行動を見て学ぶことが多い子どもは、他の人が食べ物で遊んでいるのを見て、それを真似することがあります。
影響
- 食事の時間が長引く可能性: 遊び食べが多くなると、食事の時間が長引くことがあります。
- 栄養の偏り: 実際に食べる量が減ることで、栄養の偏りが生じることがあります。
- 食事マナーへの影響: 遊び食べが続くと、食事マナーの形成に影響を与える可能性があります。
【効果的な遊び食べ対策】
幼児の遊び食べに対処するために、以下の対策が有効です。
食事環境の整備
①食卓を落ち着いた雰囲気に保つ
- 定期的な食事の時間を設ける:食事の時間を決めて、毎日同じ時間に食べるようにすると、子どももそのリズムに慣れやすくなります。
- 食事の前にリラックスする時間を作る:食事の前に絵本を読んだり、静かに過ごす時間を設けることで、子どもも落ち着いた状態で食卓につくことができます。
- テレビやデバイスを消す:食事中はテレビやスマートフォンなどのデバイスを消して、集中できる環境を作ります。
- 食卓をシンプルに保つ:食卓に余分なものを置かず、必要な食器や食べ物だけを配置することで、子どもが遊びにくくなります。
- 親が落ち着いた態度で食事を楽しむ:親がゆっくりと食事を楽しむ姿を見せることで、子どももその雰囲気に影響されます。
- 適度な会話を楽しむ:食事中に家族で楽しい会話をすることで、子どもも食事に集中しやすくなります。ただし、あまりにも賑やかになると逆効果になることもあるので、バランスが大切です。
- 褒めるタイミングを見計らう:子どもが食事に集中している時や、しっかりと食べている時に褒めることで、良い行動を強化することができます。
②食器や食べ物の配置に工夫を凝らす。
- カラフルな食器を使用する: 子どもが興味を持ちやすいように、明るい色やキャラクターが描かれた食器を使うことで、食事の時間を楽しく感じさせることができます。
- 食器の形状に変化をつける: 普通の丸い皿やボウルではなく、動物の形や乗り物の形をした食器を使うことで、子どもが興味を持ちやすくなります。
- 一口サイズにカットする: 子どもが自分で簡単に食べられるように、食べ物を一口サイズにカットしておくことが重要です。これにより、子どもが遊びながら食べることを防ぐことができます。
- 色とりどりの食材を使う: カラフルな野菜や果物を使って、見た目に楽しいプレートを作ることで、子どもが興味を持って食べるようになります。
- 食べ物をテーマに沿って配置する: 例えば、野菜で動物の顔を作ったり、果物で花を作ったりすることで、子どもが興味を持って食べるように誘導できます。
- 子ども用のカトラリーを用意する: 小さな手でも使いやすいサイズのカトラリーを用意し、子どもが自分で食べる楽しさを感じられるようにします。
食事時間のルール設定:
- 遊び食べの時間と実際の食事時間を明確に区別する。
- 遊び食べが許される範囲を定める。
楽しさと教育のバランス:
- 遊び食べを楽しむ一方で、食事の重要性やマナーについて教育する。
- ゲームや視覚的に楽しい料理を通じて、食事を楽しむことの良さを伝える。
具体的なアイデア
幼児が遊び食べをしながらも、食事の楽しさを体験できるようなアイデアを実践しましょう。
子どもが参加できる食事の準備:
- 野菜や果物の洗浄:子どもは水遊びが好きなので、野菜や果物を洗う作業は楽しんでやってくれます。
- 簡単なカット作業:プラスチックのナイフを使って、柔らかい野菜や果物を切らせることができます。安全面に注意しながら行いましょう。
- テーブルセッティング:食器やカトラリーをテーブルに並べる作業を手伝わせると、責任感を持たせることができます。
- パンやクッキーの生地作り:混ぜたり、こねたり、型を抜いたりする作業は子どもにとって楽しい体験です。
- サラダの盛り付け:サラダの具材を選んで、好きなように盛り付けることを任せると、自分で作ったものを食べる楽しさを感じることができます。
- 食材の計量:軽量カップやスプーンを使って、食材を量る作業を手伝わせると、料理のプロセスを理解するきっかけになります。
見た目が楽しい料理の工夫
- キャラクター:アニメや動物を模した盛り付けは、子どもにとって魅力的です。おにぎりを動物の顔に見立てたり、ウインナーをタコに切ったりすることで、食べる楽しさを増やせます。
- カラフルな食材を使用:色とりどりの野菜やフルーツを使うことで、見た目が華やかになります。例えば、パプリカやブロッコリー、ベリー類を使ったサラダなどが効果的です。
- 形を工夫する:型抜きを使って野菜やフルーツを星やハート、花などの形に切り抜くと、子どもが興味を持ちやすくなります。
- 盛り付けを工夫:プレートに絵を描くように盛り付けを工夫することも有効です。例えば、野菜で花を作ったり、ソースで絵を描いたりすることで、楽しい食事体験を提供できます。
- 食器やランチョンマットを子どもが選べるようにする。
【子どもの食事において、最低限教えておきたいこと】
①食事のマナー
- 食事中は座って食べること。
- 口を閉じて食べること。
- 手や口をきれいに保つこと。
- 他の人が食べ終わるまで席を立たないこと。
②食器の使い方
- フォークやスプーンの正しい使い方。
- お箸の使い方(日本では特に重要)。
- ナプキンやおしぼりの使い方。
③バランスの取れた食事の重要性
- さまざまな食品をバランス良く摂取することの大切さ。
- 野菜、果物、タンパク質、炭水化物などをバランスよく食べること。
④感謝の気持ち
- 食事を用意してくれた人に感謝すること。
- 食材に対する感謝の気持ちを持つこと。
⑤食べ物を粗末にしない
- 必要な量だけ取ること。
- 食べ物を無駄にしないこと。
⑥食べる前と後の挨拶
- 食べ始める前に「いただきます」、食べ終わったら「ごちそうさまでした」と言うこと。
⑦自分の食器を片付ける
- 食事が終わったら、自分の使った食器を片付ける習慣を身につけること。
これらの基本的なことを教えることで、子どもは食事の時間を楽しく、かつ有意義に過ごすことができるようになります。
また、これらのマナーや習慣は、将来的に社会生活を送る上でも役立つ重要なスキルとなることでしょう。
【まとめ】
幼児期の遊び食べは、子どもの成長と発達の一環です。
保護者が理解し、適切に対処することで、食事時間を楽しく、栄養バランスを考えた健康的な食習慣を育むことができます。
子どもの興味を尊重しつつ、教育的な視点から食事の楽しさを伝えることが大切です。