『食べることは楽しいこと』
これが、このブログのテーマであり、保育士&幼稚園教諭を20数年勤めてきた僕が、食育の中で目指すところです。
食べることは生きること、なんて大それたことは言いません。
しかし、毎日必ず食べる食事だからこそ、何かできれば大きな積み重ねになると思うのです。
そんな「何か」を今後発信していけたらいいなと思っています。
【食べる時に大切なこと】
食事において大切にするべきこととは、どのようなことでしょうか。
特に小さいお子さんの食事において大切なことは、「食べることって楽しい!」と思える体験を積み重ねていくことだと考えます。
栄養バランスや味つけなどを考えることも、もちろん大切なことだと思いますが、それよりも大切なことがあるのです。
それは…
「どんなものを食べたか」よりも、「どのような環境で食べたか」ということが大切なのです。
その環境が食の体験の豊かさを左右するとも言われています。
まずは「どんな言葉をかけようかな」「こんな雰囲気で食べたら楽しいだろうな」というように、子どもたちの食の環境に、注目してあげることが大切ですね。
離乳食期は「なかなか食が進まない」「せっかく作ったのに食べてくれない」など、思ったように離乳食が進まず、保護者の悩みが多い時期でもあります。しかし、それでお父さん・お母さんがイライラしてしまっては、食事の時間が子ども・保護者双方にとって、苦痛になってしまいます。
「楽しく食事ができる環境」を整えてあげるだけでも、案外、子どもたちが食べてくれるようになることも多いものです。
【みんなで食べること「共食」の楽しさ】
幼稚園や保育園においては、みんなで一緒に食べますよね。ただそれだけのことですが、これも立派な食育の1つなのです。
近年、ひとりだけで食事をとる「孤食(こしょく)」が、社会的に問題になっています。
「孤食」によって起きる問題
コミュニケーションの機会が少ないため、社会性や協調性が育ちにくく、失われやすいと言われています。また、栄養バランスの偏りも指摘されているそうです。
現代においては、ひとりっ子の家庭も多く、核家族世帯の割合もずいぶんと増えました。
共働きで時間が合わない時もあります。帰りが遅くなることだってあります。
そのため、家庭のなかでさえ「みんなで食べる」こと、つまり「共食(きょうしょく)」の経験がなかなか得られない環境にあるのです。
それに対して幼稚園や保育園では、同じような年齢の子がテーブルを囲み、集団のなかで食事をします。
「みんなで食べるとおいしいね!」という「共食」の体験ができるということは、幼稚園や保育園の食育における大きな強みだと思います。
【幼稚園の給食の時に心がけていること】
僕は幼稚園に勤務していますが、幼稚園の給食は、外注しているお弁当給食です。
園には調理室がないので、出来たての給食という訳にはいきません。
でもその中でできる限りのことはしていきたいと考えて、食事の時間を過ごしています。
最初にも述べたように「どのような環境で食べたかが大切」ということは常に意識しています。
僕は食べることは絶対に強制したくないという思いをもっているので、雰囲気作りは大切です。
子ども達に楽しく食べてもらうために、僕が幼稚園で実践していることを紹介したいと思います。
各机に小瓶に花を飾る
生花は長持ちしないため造花ですが、1つ花があるだけで、食事の席がパッと明るくなります。
何種類も花を用意しておき、日替わりで楽しめるようにしています。
アロマストーンを使う
オレンジの香りのアロマには、食欲増進、消化促進の作用があるそうです。
僕は幼稚園の給食の時に、アロマストーンにオレンジスイートのアロマを使っています。
電気や水を使うアロマは、子どもの食事の場には相応しくないかなと思います。アロマストーンなら電気も水も使わず、アロマ液を垂らすだけでいいので、使っています。
曲を流す
あとは食事の時間にはクラシックの曲を流しています。レストラン風に。
「今日はレストランです」「お味はいかがですか?」なんてやり取りをすると、子ども達も「とっても美味しいです」と乗ってきてくれます。
また、流す曲はモーツァルトの「アイネクライネナハトムジーク」。この曲は唾液の分泌を促す作用があるそうです。
【まとめ】
こんな感じで、幼稚園での給食の時間を過ごしています。
僕のクラスは特に偏食の子どもが多く、白ご飯しか食べない子もいます。
ちょっとがんばれば食べられる、というレベルではありません。ここで食べることを強制してしまうと、食べることが嫌になってしまうかもしれません。
だからこそ、雰囲気だけでも楽しく食べらるような環境を心がけています。
大きくなった時に、「あの時あんな風にして食べたな~」「みんなで食べたの楽しかったな」と思い出してもらえるくらい記憶に残ったらいいなと思っています。